“人の力になりたい”という意欲と(前編):中央大学ボランティアセンター

きっかけのきっかけ

「大学に入学した途端時間に余裕ができて、でも何をしたらよいのかわからないという中で、何か新しいこと・意味あることをしてみたいけどそれも漠然としていました。そんな時、学内の掲示板のビラを目にして『まあ、とりあえず』という気持ちで参加してみたのがきっかけでした」木村亘佑(中央大学法学部国際企業関係法学科)

木村は、高校卒業後地元である熊本県から上京し中央大学八王子キャンパスに通い始めた当初のことをこう振り返った。

気仙沼でのボランティア活動

「『はまらいんや』に入ったのは2015年です。震災からすでに5年近い時を経ていたので、震災当時のことはもちろん、『はまらいんや』の今に至るまでの経緯など、わからないことも多かったです。とにかく現地の活動や学内のミーティングで耳にしたこと、見たことや感じたことをノートにとることで必至でした(木村)」。

はまらいんや」は中央大学(東京都八王子市)のボランティアチームである。東日本大震災被災地のコミュニティ支援活動として宮城県気仙沼市の仮設住宅への戸別訪問に取り組んできた。現地の民生委員や見守り支援員の方々など地域内の主体者の方々の協力を得ながら、現在に至るまで継続的に支援活動を行なっている。

「はまらいんや」のチームメンバーは、夏休み・冬休み・春休みと3度の長期休暇に合わせて1週間程度、気仙沼を訪れボランティア活動を行う。その準備と計画のために、毎週メンバーで集まり協議を行いながらプランを練っている

活動を通じた学びと

木村は「はまらいんや」の活動を通じた当初の自分自身をこう振り返った。

「仮設住宅への訪問は個々の住民の方々との関係づくりから始まる、ということが徐々に実感できてきました」。

「確かに、全く知らない人を家に招き入れたいと思う方はいませんよね。まずお茶会をきっかけに住民の方々と知り合い、関係をつくりながら、最初は玄関先での立ち話から始まって、回数を重ねれば中に招き入れてくれる方もいて(木村)」。

1年が経って

「最近では東北地方が被災地としてメディアに取り上げられることは少なくなりましたが、未だに個人や地域がそれぞれに問題を抱えながら歩む今があります。時間が経過するに連れ仮設住宅が集約されていく中で、被災者の方々は災害公営住宅など再び新しい環境の中での生活を迎えています。被災者の方々の気持ちは様々で、中には『学生さんだから』と言って、心のうちを明かしてくださる方もいました。月日が流れたとしても震災当時の話を涙ぐみながらされる方もいらっしゃいました。微力ながら、地域に寄り添っていく事を目的として『はまらいんや』はボランティア活動に取り組んでいます(木村)」。

そして、木村が「はまらいんや」の活動を始めてから1年が経つ頃に迎えた、2016年4月14日であった。

後編に続く

中央大学ボランティアセンターの活動

東京都日野市落川の地域活性化ボランティアに取り組んだ学生の声(中央大学法学部政治学科 H・M)

「ボランティア活動を通じて、現場を訪れなければわからないことがたくさんあると知りました。私は1年生の時から学部の講義やゼミ、サークルなどでまちづくりや地域活性化について学んできましたが、なかなか実感としては掴めないでいました。2年生の初夏に初めて落川を訪れたとき、“地域のあたたかいつながり“とは何なのかがようやく感覚としてわかりました。それ以降、大学で学ぶ内容も、個人的に読んだ文献の内容も、よりリアリティのあるものとして捉えられるようになり、勉強が進みました。3年時に執筆したゼミ論文でも落川のことを取り上げ、コミュニティ論の視点から簡単な分析を行いました。それを発展させる形で執筆する卒業論文で、より深められればと思っています。次に、世の中には多様な価値観が存在し、立場が異なる人同士が協働することの難しさと素晴らしさを感じました。私は、ボランティアをするまで悪い意味で真面目過ぎるところがあり、型にはまった考えをしがちでした。落川では、年齢も性別も職業もその他多くの違いを持った魅力的な方々と一緒に活動させていただき、とても視野が広がりました。もちろん、活動をする中で外部の方とお話したときに、なかなかこちらの意図をわかってもらえず苦労したこともありました。ですが、相手がなぜそのような発言をするのかという理由を徹底して相手目線で考え抜くことで、ある程度理解し合うことができました。こうした経験から、人と人をつなぐような仕事がしたいと考えるようになっていきました。」

中央大学

ボランティアセンター

当初は中央大学ボランティアステーションとして2013年4月に設立され、2015年4月からは専従スタッフ(嘱託・パート職員)3名体制となり、ボランティアセンターとして学生の活動を支援している。それまでも、学生課や学生サークルを中心にボランティア需要に対応する時期が続いていたが、東日本大震災での学生のボランティア活動から、継続的にボランティア先との関係を作っていくことや学生の活動を支援していくことを目指しボランティア組織づくりを行った。センターの設立を経て、ボランティアで得た学びを学生に還元していくこと、また福祉やまちづくり分野での多摩地域での日常的なボランティア活動も推進している。