つながりが文化として:清泉女子大学文学部地球市民学科

ここからはじまる今

希薄であり続ける大学教員と大学生の関係

小学校、中学校、高校の卒業式。

教師と生徒が、卒業と別れ、そして互いの成長を称え合い、涙するシーンを多く目にする。

しかし、大学の卒業式でそうしたシーンを目にした記憶はない。

成人を迎え就職が決まり、大人として自立をしていく大学生たちと、研究のプロフェッショナルとしての大学教員の関係性としては、至極当たり前に思えてきた光景ではあったのだが。

そういうものである、という既成概念

多くの大学が教養過程や基礎過程として過ごす1年次・2年次には、教員と出会う機会は大講義室の講義だけで、「所属している学部・学科の教員とでも、個人的に話をしたこともない」という声が多く聞かれる。

授業の始まりから終わりまで一切履修生の目を見ることなく黒板に向かって講義を行う教員、無関心にあくびをして時計とにらめっこしている学生の姿。それが普通である、そしてそれはそういうものであると、変わらず繰り返される光景が無数に存在している。

ここに来て良かったと思える瞬間

「合宿で先輩たちが学会活動などに取り組んでいる姿、先輩と先生のやりとりを目の当たりにして。なんというか“これ、いいなあ!”と憧れていました。」

清泉女子大学(東京都品川区)の文学部地球市民学科では、毎年新入生を迎える4月に泊まり込みの新入生合宿を行う。

参加者は教員・職員・先輩、そしてOGたちまでも、新入生を迎え入れる。

2018年度は東京都江東区夢の島の「BumB 東京スポーツ文化館」の研修室で行われた。課題に取り組む真剣な表情の新入生と、新入生の投げかけに的確に応えながらも温かく受け入れる先輩と教員たち。これほど多くの教員が参加している新入生合宿を目にすることは珍しい。

何かを教えたり与えたりするのではなく

清泉女子大学地球市民学科助手の想本絵理は、毎年見てきたこの新入生合宿の光景をこう振り返る。

「この学科では、学内の先輩だけではなく卒業生まで駆けつけて、新入生を見てくれています。特に何かを教えたり与えたりするのではなく、先輩や先生が新入生と一緒に時間を過ごす、この新入生合宿は地球市民学科の文化みたいなものだと思います」。

“らしさ”を共に創る、紡いでいく

新入生合宿を企画・運営する先輩学生は、入学直後の自分自身の心境についてこう話す。

「はじめは先輩方についていくだけで精一杯でした。でもついていく中で、そのうちに次第に活動に取り組むことが当たり前になってきて、いつの間にか自分も先輩の立場になっていました」。

「新入生合宿は、『地民(地球市民学科の略称)らしさ』が生まれる最初のきっかけなのかもしれないと感じます」(清泉女子大学地球市民学科助手、横山由紀)

大学の4年間をどう過ごすかの礎として

地球市民学科では、グループ活動に積極的に参加する学生が多く存在する。

同学科に在籍するすべての学生が所属し学科に関わる活動に取り組む「地球市民学会(通称、地民会)」、学外のフィールドを中心に活動に取り組むプロジェクト・ベースド・ラーニング(通称、PBL)など様々な企画が持ち上がる。学生たちが積極的に関与し、ラーニング・コモンズに集まり、先輩たちが継続的にフォローアップを行う。

清泉女子大学キャンパス内にあるラーニング・コモンズ

清泉女子大学プロジェクト・ベースド・ラーニング(PBL)

清泉女子大学のPBLは、学生の課外活動、なかでも企業や団体といっしょに行うプロジェクトをサポートするために、大学教員や職員が協力して立ち上げたものです。

大学のある品川区やその周辺で、企業や地域の人々といっしょに何かを始めてみたい、そういう意欲のある学生が学科を問わず集まってきます。

清泉のような小規模な大学の強みは、フットワークの軽さかもしれません。やりたいという学生がいてじゃあサポートしてみようという教員や職員が集まる、そういう環境から新しい発見がうまれるといいなと思っています。

(地球市民学科 辰巳頼子准教授)

暖かさを、強さに

合宿が終わった後も、教員に疑問を投げかける新入生、それにひとつずつ丁寧に答える教員。ダメ出しやフィードバックではなく、それぞれが一人の地球市民として。大学から新たなチャレンジに身を投じる学生を支えているのは、大学に受け入れられているという安心感なのかもしれない。

清泉女子大学文学部地球市民学科

地球市民学科の特徴

グローバルな発想と視野を持ち、地球社会に貢献できる人材を育成します。

POINT 1:3つの学習領域を学び、多角的な視点と発想を養う

グローバル社会系、グローバル・コミュニケーション系、フィールドワークの3つの柱を学びます。グローバル社会系では理論や知識を、グローバル・コミュニ ケーション系では実践的なコミュニケーション能力を習得します。選択科目にはすべて難易度を示すレベルが付されているので、まるで登山をする時のように、 学生一人ひとりの理解や習熟の度合いに応じて、着実にステップアップしていけるようになっています。

POINT 2: フィールドワークによって、理論や知識を確かな知へと変える
実際に国内や諸外国を訪問し、コミュニケーション能力を駆使し現地の人々と交流しながら、自分が関心のあるテーマについて情報収集や調査を行います。実際に現地で活動することによって、今まで単なる知識でしかなかったことが確かな知へと変わる瞬間を体験することができます。

POINT 3:地球市民学科の4年間の学びを通して、「本当の力」を身につける
1 年次の「チュートリアル」では、入学時点でつまずいてしまうことのないようにチューターの教員から助言やサポートを受けながら、4 年間の土台となる学びのスタイルを習得。4 年次の「卒業プレゼンテーション」が最終目標です。カリキュラムは知識・教養から実践まで網羅していますので、社会に出ても活かせる付け焼刃ではない「本当の力」を身につけることができます。