梅五輪プロジェクト:津田塾大学千駄ヶ谷キャンパス

「せっかくこういう場所にある大学なんだから、何かこの場所らしいプロジェクトを立ち上げようという話になりまして。」(津田塾大学総合政策学部総合政策学科曽根原登教授)

津田塾大学総合政策学部は2017年に新たに開設された学部で、2016年に完成したばかりの千駄ヶ谷キャンパス(東京都渋谷区)に居を構えている。

新国立競技場の目の前

増野晶子と戸根木希は2017年4月に津田塾大学総合政策学部に入学した。

2人は、予定では2020年東京オリンピック・パラリンピック開催時に大学4年生になる。

「地域で、オリンピック・パラリンピックを迎えるためのお手伝いが出来たらなという事は漠然と考えていました。一方で、色々な世代と一緒にやらないと孤立してしまうし、大きなことは出来ないと感じました。」(増野)

増野がリーダーとなり、津田塾大学で「梅五輪プロジェクト」が誕生した。東京オリンピック・パラリンピックの開・閉会式会場から世界一近いキャンパスという地の利を生かした、地域との連携プロジェクトである。

「ここの学生しか出来ないオリンピックへの携わり方が、このプロジェクトなら出来ると考えたので、参加しました。」(戸根木)

 

地に足のついたことを

「皆で色々問題発掘のように街を探し歩いて、誰がどんなことに困っているのか、そういったことをたくさん調べましたね。そうすると、例えばどこに訪日外国人がたくさん来て、住民が困っているとか、見えてくるんですよね。現実の、実課題が。」(曽根原)

きっかけは千駄ヶ谷地域に「困っている事は有りますか?」とヒアリングをしに行ったことだった。

「千駄ヶ谷の施設紹介マップがすごく分かりにくいのと英語表記が無かったという事で。」(増野)

「マップを英訳をして、駅構内に千駄ヶ谷の英語マップを貼ってもらいました。」(増野)

「普段教室で習ったことを、そこで終わらせるのはもったいないと思って。何かに生かせないかなと。」(戸根木)

 

千駄ヶ谷の街

「伝統文化に関わることで、この地域の人たちと仲良くなるきっかけに出来たらいいなと考えました。」(曽根原)

曽根原は梅五輪プロジェクトが現在進めている活動を紹介してくれた。

「千駄ヶ谷には将棋会館や国立能楽堂があることを知って。伝統文化にあふれた街なんです。何か地域の人たちと関われるような工夫が出来ないかなと。」

 

カフェテリアで

現在、津田塾大学千駄ヶ谷キャンパスでは、将棋対局が頻繁に行われている。

「個室でやっていると外から見ることが出来ないので、こういう場所ですることで部員ではなくても通りがかった人が「何かやっているな」と少しずつ覚えてくれるかもしれないと思って。」(戸根木)

対局が行われるのはカフェテリア、キャンパスの中心、人通りの多い場所である。

将棋に関わり、将棋会館の方々と親睦を深める中で気がついた課題があったという。

英語が話せる人が少ないため、英語で将棋について紹介できる人手やツールが足らないという課題であった。

梅五輪プロジェクトでは、日本将棋連盟と津田塾大学 囲碁・将棋部と協力し初心者向けの英語の将棋パンフレットを作成した。

 

言語を介さなくても

「英語が話せない人にも分かっていただくために、図がいいなということになり、動き方の図を載せるようにしました。」(戸根木)

「『日本に来て良かったな』という印象の中のひとつに将棋が入ったら素敵だなと思っています。」(戸根木)

 

得意なことで

「大事なことは地に足の付いた社会問題解決だと私は思うのです。身近な小さな問題解決をしていくことで自信になる。」(曽根原)

「今年からの入学生には『ひとつ得意なことをつくれ』と言っています。そうしないと満遍ない人になっちゃって。それってその人の魅力にならないと思うんですよね。『自分の個性をどう伸ばすか」ということは一生懸命考えなくてはならない問題だと思います。」(曽根原)

総合政策学部総合政策学科教授

曽根原登(そねはらのぼる)

1978年日本電信電話公社入社。国際電気通信基礎技術研究所、ATR視聴覚機構研究所、NTTヒューマンインタフェース研究所、NTTサイバーソリューション研究所を経て2002~2004年東京工業大学大学院理工学研究科 連携講座教授、2004年より国立情報学研究所情報社会相関研究系 教授 2017年4月より津田塾大学総合政策学部 教授、国立情報学研究所 客員・名誉教授。